童話の世界フォトコンテスト 入賞作品紹介
こんにちは、ごんの贈り物です。
昨年秋、募集させていただいた「童話の世界フォトコンテスト」入賞作品が、先月発表されました。
テーマは新美南吉の童話の世界。
今まだ残る新美南吉の作品の風景・世界観が残るふるさとの魅力を写真で表現していただきました。
今回は47点のご応募いただきました。ご応募いただいた皆さまありがとうございました。
ご応募いただいた中から、入賞した4作品をご紹介いたします。
◆入賞
-でんでんむしのかなしみ-
いっぴきの でんでんむしが ありました。
ある ひ その でんでんむしは たいへんな ことに きが つきました。
「わたしは いままで うっかりして いたけれど、
わたしの せなかの からの なかには
かなしみが いっぱい つまって いるではないか」
この かなしみは どう したら よいでしょう。
でんでんむしは おともだちの でんでんむしの ところに やって いきました。
「でんでんむしのかなしみ」より抜粋
題名:「みんな生きている」
撮影者:奥村 和夫 様
テーマにした作品名:デンデンムシノカナシミ
コメント:「たくさんの友達も悲しみを背負って生きている。
それに気づき、デンデンムシは嘆くことを止めた。
大小、少なからずの悲しみを背負っているデンデンムシたちが
生き生きとしているように彼岸花のしべを『道』と表現しました。」
●
雨粒のひとつひとつに、ででむし広場のでんでんむしが映り込み、味わい深い作品です。
どこか物悲しい空気と雨上がりのさわやかさも、「でんでんむしのかなしみ」の雰囲気が感じられますね。
「でんでんむしのかなしみ」は、こちらで読むことができます。
●
-窓-
窓をあければ
風がくる、風がくる。
光つた風がふいてくる。
窓をあければ
こゑがくる、こゑがくる。
遠い子どものこゑがくる。
窓をあければ
空がくる、空がくる。
こはくのやうな空がくる。
詩「窓」より
題名:「琥珀のような空」
撮影者:奥村 和夫 様
テーマにした作品名:窓
コメント:「南吉さんの詩『窓』では、窓をあければ『こはくのような空がくる』とあります。
琥珀に相応しい夕暮れ時の、透明感のある色を基調とし、
幸せそうな家族のもとに琥珀色の空が迫ってくるよう表現しました。」
●
でんでんむしのかなしみと同じ、奥村和夫様の作品です。
南吉さんは童話のほかに、たくさんの詩を遺しています。
琥珀色の空と光った風が見事に表現され、まさに「窓」の情景を切り取ったような作品となっています。
-狐-
子どもたちは小さい村から、半里ばかりはなれた本郷へ、
夜のお祭りをみにゆくところでした。
・・・
本郷にはいるとまもなく、道ばたに下駄屋さんがあります。
子どもたちはその店にはいってゆきました。文六ちゃんの下駄を買うのです。
文六ちゃんのお母さんにたのまれたのです。
・・・
「やれやれ、どこの子だか知らんが、晩げに新しい下駄をおろすと狐がつくというだに」
子どもたちはびっくりしておばあさんの顔をみました。
・・・
「もし、ぼくが、ほんとに狐になっちゃったらどうする?」
「狐」より抜粋
題名:「舞台で舞う」
撮影者:土井 章義 様
テーマにした作品名:狐
コメント:「『本郷へ、夜のお祭りを見にゆくところでした。・・・稚児さんが二つの扇を、
眼にもとまらぬはやさでまわしながら、舞台の上で舞うのを見ていました。』
という、岩滑八幡社舞台での描写を、如実に切り取り、
まさに童話の世界から飛びでてきたような作品に仕上がった。」
●
岩滑八幡社は、南吉さんが毎日境内を通り、離れの家と店を行き来していた、ゆかりある神社です。
こちらの作品は、舞台となった岩滑八幡社での物語の一場面が 忠実に再現されています。
南吉童話では「ごんぎつね」や「手袋を買いに」など、よく狐が登場しますが、題材となった「狐」では狐は出ず、
狐になったらどうしよう?と不安になる子どもと、母親の絆の物語。
「狐」はこちらで読むことができます。
●
◆半田市観光協会特別賞
墓地には、ひがん花が、赤い布のようにさきつづいていました。
「ごん狐」より抜粋
題 名:「赤いじゅうたん」
撮影者:渡辺 節也 様
コメント:「題名そのものです」
●
こちらの作品は、半田市観光協会の特別賞となりました。
テーマにした南吉作品は無しとのことでしたが、あまりにも有名な「ごんぎつね」には、「墓地には、ひがん花が、赤い布のようにさきつづいていました。」との一節があります。ごんも、彼岸花が続く景色を見たかもしれませんね。「ごん狐」はこちらから読めます。
●
たくさんのご応募、ありがとうございました。
今後も定期的にフォトコンテストを開催いたしますので、ぜひご参加ください。