童話の森活動レポート2024

童話の森 活動レポート 2024
童話の森 活動レポート2024 は新美南吉記念館内の童話の森コーナーにて配布中です。
PDFの閲覧とダウンロードはこちらからどうぞ。




南吉童話の世界へつながる森を
より多くの人が訪れ楽しめる場所へ。
童話の森は、童話作家・新美南吉を顕彰する新美南吉記念館に併設された小さな森です。南吉の生まれ育った愛知県半田市岩滑にあり、南吉の生家も歩いてすぐのところにあります。南吉の生きた大正から戦前、この森は岩滑の住民にとって身近で大切な里山でした。南吉さんの作品にはこの森や岩滑地域に生息する植物や生き物、風景が多く登場します。それは、南吉が自分の生まれ育ったふるさとを舞台にお話をかいたから、そこに生きる人々の生活を描いた作家だからです。
この森は人と身近な関係性にあった里山としての時期から、高度成長期を経てだんだんと人が寄りつかない森へと変わっていきます。その後、南吉の代表作である『ごんぎつね』の舞台でもあるこの森を生かし、新美南吉記念館が建てられ、散策路として整備、ただ年々植生が変化し、”ヒサカキ“や”カクレミノ“など陰樹中心の薄暗い藪になり、人が入りづらい暗い森になっていました。
そんな中、2020年秋、”童話の森で。プロジェクト“の活動が始まりました。まずは関心のある有志数名で、この森を数十年にわたり見てこられた地元の活動家とともに自然観察会を実施。まだまだ南吉作品に登場する植物や生き物が残り、この森から新美南吉の作品世界へとつながる可能性を大きく感じました。
まずメンバーではじめたことは、この森を知ること。月に一度集まり、自然観察からはじめます。森の植生や四季の移り変わり、南吉作品との繋がりを共有しながら、時には専門家の方にお越しいただき、この森を様々な角度から捉え、あるべき姿を模索しています。
森を整える活動も、毎月、間伐や清掃活動、などより美しく見てもらうために活動を進めています。
森が整い始めた2022年からは、本格的に森を楽しんでもらおうと「童話の森の文化祭」を開催。多くの方に森を見ていただきながら、将来のビジョンを描けるように、日々活動を行っています。
今年は間伐材の活用を推進。より価値の高い森の循環を目指します。

2023 活動日誌


森について知る
森と仲良くなる
自然観察会を開催
童話の森には新美南吉の作品にも登場する植物が数多く生えています。森林インストラクター伊藤佑三氏のガイドのもと、自然観察会を実施しました。森と仲良くなるために樹木や草花の名前を覚えながら散策しました。
楽しく解説してくれる伊藤さんの自然観察会。樹木や草花の名前や特性を知ると、森の景色が変わってきます。


森を整える その1
整備活動で、人が集う
明るい森を目指して
月に一度、仲間と一緒に童話の森を整備しています。最初に訪れたときは、うっそうと茂った暗い森。まずは光が入るように間伐からスタートしました。その後、守りたい木のまわりを整えたり、草刈りをしたりしているうちに、新しい植物も顔を出しはじめ、森が少しずつ変わってきました。今年は枯れ木の片付けや植栽、清掃活動など、森の様子を見ながらできることを進めています。参加メンバーは20代から80代までさまざま。いろんな世代が集まって、多様性のある森を育てていけたらと思っています。

森を整える その2
南吉の物語を彩る
花壇づくり
森の隣に小さな花壇を作り、南吉さんの物語に登場する植物を植えました。今年は森の循環を意識し、コンポストも設置しました。
綿やサクラソウ、菜の花など、四季折々の植物が楽しめます。

童話の森で。プロジェクト
アートが森を彩る
「童話の森の文化祭」開催
せっかく整ってきた童話の森を、地域の方や南吉ファンに楽しんでいただこうと、「童話の森の文化祭」を開催しました。今年で3回目となる今回は、「センス・オブ・ワンダー」をテーマに、新美南吉にインスピレーションを受けた作家のアート展示、森の中での読書や音楽、自然観察会、トークセッション、木工ワークショップなど、多彩な企画を実施。森の魅力を五感で感じながら、新美南吉の世界観を楽しんでいただける1日となりました。






間伐材の活用
森の間伐木材で楽しむ
木工ワークショップ
森で間伐した木材を有効利用するため、木工作家のicura工房 筒井則行氏をゲストにさまざまなワークショップを実施。「童話の森の住人たちを作ろう」では、森で間伐したヒサカキなどの小枝に電熱ペンで顔を描き、頭に帽子を被せて完成させます。昨年に引き続きたくさんの方にご参加いただき、個性溢れる森の住人たちが増えました。「バターナイフをつくろう」では、森で伐採した生木の枝から、小刀で削って制作。間伐木材から生まれる新しい価値を楽しみながら模索し、今の時代に見合った「森の循環」を進めています。

間伐材の活用
竹を活かした
”きつねさんのトンネル”
増え続ける竹を活かそうと、100本の間伐竹を使い「きつねさんのトンネル」を制作。大人も子供もくぐり抜けながら、童話の世界に入り込みました。空間プロデュースはdomusの平山郁夫氏が担当。
