【童話の森だより】童話の森だより夏号

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童話の森だより 夏号

童話の森だよりは新美南吉記念館内の童話の森コーナーにて配布中です。
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マップを片手に童話の森を散策しませんか?

南吉を読む

『でんでんむし』

大きな でんでん虫の せなかに うまれたばかりの 小さな でんでん虫が のって いました。小さな 小さな すきとおるような でんでん虫でした。
「ぼうや ぼうや。もう、あさだから、めをだしなさい。」と、大きな でんでん虫が よびました。
「あめは ふって いないの?」
「ふって いないよ。」
「かぜは ふいて いないの?」
「ふいて いないよ。」
「ほんとう?」
「ほんとうよ。」

新美南吉『でんでんむし』より

《作品解説》南吉は小鳥や蛍など小さくて弱い生き物を好んで物語に描きました。「でんでんむし」もそのひとつ。生まれたばかりの子どものでんでんむしは目にするものすべてが新鮮で、お母さんでんでんむしを質問攻めにします。自然の美しさ、子どもの純粋さ、温かく見守る親の愛情を、まだ19歳の南吉が瑞々しい感覚で書き上げた作品です。

 

アジサイとでんでんむし

アジサイ

アジサイ科アジサイ属

アジサイは、日本原種のガクアジサイの園芸品種。初夏に色とりどりの花が咲き、次第に花色が変化します。アジサイには毒があるため、よく葉で見かけるでんでん虫はアジサイを食べません。でんでん虫を見つけたらじっくり観察してみてください。

 

童話の森の夏の見どころ

6月から8月にかけてのにぎやかな童話の森の見どころをご紹介します♪

ビワ

バラ科ビワ属

ビワ 6月頃にオレンジ色の甘い実をつけるビワ。だえん形の大きな葉が楽器の琵琶に似ていることが名前の由来とされていて、枝がしなるほどたくさんの実をつけます。甘い果実を目当てに野鳥や昆虫が集まり、にぎやかな夏を迎えます。

ビワの葉は昔からお茶や漢方などにも利用され、冬に咲く花は杏仁豆腐のような甘い香りがします。南吉の詩『枇杷の花の祭』では、花の少ない冬にミツバチが集まる様子が描かれています。

ヤマモモ

ヤマモモ科ヤマモモ属

ヤマモモ初夏に赤い実をつけるヤマモモ。とても繊細な実は、少し触れるだけで濃く鮮やかな赤い果汁があふれます。南吉の養家にも大きなヤマモモの木があったので、南吉もこの季節には甘酸っぱいヤマモモを味わっていたことでしょう

ヤマモモの実はシロップやジュースにするとキレイな赤色と爽やかな酸味を楽しめます。毎年7月30日の「南吉さんの日(誕生日)」ではヤマモモジュースが振舞われるのが恒例です。

谷地(やち)のホタル

ホタル

童話の森西側の谷地では、新美南吉作品『木の祭』をテーマに蛍の幼虫の放流などを行っています。「ひとつひとつのほたるが ひとつひとつのはなのなかにとまりました。まるで ちいさいちょうちんが きにいっぱいともされたようなぐあいでした。 (新美南吉『木の祭』より)」 夏に白い花を咲かせる木は童話の森にも見られます。どこかでひっそりと行われている『木の祭』を想像しながら、夏の森を歩いてみてください。

しじみちょうと蛍の心温まる交流や、幻想的な夜の風景が印象に残る作品『木の祭』。毎年6月には「南吉さんの蛍まつり」を開催しています。

夏の童話の森へ
ぜひあそびに来てください♪