【童話の森だより】童話の森だより冬号
童話の森だより 冬号
童話の森だよりは新美南吉記念館内の童話の森コーナーにて配布中です。
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マップを片手に童話の森を散策しませんか?
南吉を読む
『牛をつないだ椿の木』
「あの道ばたに井戸を一つ掘ったら、みんながたすかると思うがのオ」
と、海蔵さんがもちかけました。
「そりゃ、たすかるのオ」
と、利助さんがうけました。
「牛が椿の葉をくっちまうまで知らんどったのは、清水が道から遠すぎるからだのオ」
「そりゃ、そうだのオ」
新美南吉『牛をつないだ椿の木』より
《作品解説》海蔵さんは、牛が葉を食べてしまった椿のそばに、井戸を掘ろうと考えます。2年経って、花が三つ四つ咲いた頃に掘るためのお金ができました。そして花が散った頃、井戸は完成し、人々ののどをうるおすようになりました。椿は時間の経過を感じさせると共に、海蔵さんの井戸に寄り添う存在として描かれています。
ツバキ
ツバキ科ツバキ属
ツバキは着物や絵画にも数多く用いられ、日本文化に深く関わってきた植物です。種子からとれるツバキ油も整髪料などに利用されています。童話の森では白・赤・赤白混色のツバキが咲きます。よく似たサザンカとの違いは、ツバキは葉のギザギザが少なく花がカップ咲きで花しべの下半分がくっついています。観察して見分けてみましょう。
童話の森の冬の見どころ
12月から2月にかけての童話の森の見どころをご紹介します♪
ゲッケイジュ
クスノキ科ゲッケイジュ属
南吉作品「巨男(おおおとこ)の話」に登場するゲッケイジュ(月桂樹)。爽やかで甘みもあるリラックスできる香り。新芽よりも熟した肉厚の葉が香りが高く、乾燥させた「ローリエ」は煮込み料理の臭み消しとしておなじみです。手でちぎって香りを立てて使います。
古代オリンピックでは、勝利と栄光の印として、月桂樹で作った「月桂冠」が勝者に贈られました。
クスノキ
クスノキ科ニッケイ属
香りに「樟脳(しょうのう)」という防虫効果のある成分が含まれ、木の耐久性も高く、古くから幅広い用途に利用されているクスノキ。常緑広葉樹ですがほとんどの葉が4月中に入れ替わり、南吉の4月の日記に「楠の葉は今かわる。毎日落葉がたまる」と書かれています。花のき広場には冬も葉を茂らせた見事な大木があります。
屋外休憩所の脇には、南吉童話「去年の木」を思わせるクスノキの立派な切り株があります。
センリョウ・マンリョウ
センリョウ/センリョウ科センリョウ属
マンリョウ/サクラソウ科(またはヤブコウジ科)ヤブコウジ属
秋から冬に赤い実がつくセンリョウ・マンリョウ。漢字で「千両・万両」と書き、他に百両・十両・一両などもあります。赤いたくさんの実がなる姿は縁起が良いとされ、お正月飾りなどに使われます。南吉の日記に「千両、赤い実。千両は葉の上に実が群がる。万両は葉の下に実がつく。万両は千両より重いので。」と綴られています。
艶やかな赤い実は、冬の森に訪れる鳥たちの大好物。葉の下に実が隠れるマンリョウのほうが、鳥たちから見つかりにくいので食べられにくい。
冬の童話の森へ
ぜひあそびに来てください♪