【童話の森だより】童話の森だより秋号
童話の森だより 秋号
童話の森だよりは新美南吉記念館内の童話の森コーナーにて配布中です。
PDFの閲覧とダウンロードはこちらからどうぞ。
マップを片手に童話の森を散策しませんか?
南吉を読む
『ごんぎつね』
おひるがすぎると、ごんは、村の墓地へいって、六地蔵さんのかげにかくれていました。いいお天気で、遠く向こうにはお城の屋根瓦が光っています。墓地には、ひがん花が、赤い布のようにさきつづいていました。
新美南吉『ごんぎつね』より
《作品解説》里山を舞台にした「ごんぎつね」には、昔は人々の暮らしの傍に見られた動物や植物がたくさん描かれています。彼岸花もそのひとつ。田んぼの畔や墓地に咲くことが多く、物語でも葬列の場面で登場します。死人花という別名もあり、物語では単に美しさを添えるだけでなく、結末の死を予感させる伏線の役割を担っています。
ヒガンバナ
(彼岸花、別名:曼珠沙華)
ヒガンバナ科ヒガンバナ属
9月の彼岸の頃、鮮やかな赤い花を咲かせるヒガンバナ。有毒のため、昔からモグラ・ネズミ避けに活用されてきました。花は赤色の他に白・ピンク・黄などもあります。観光名所となった「矢勝川堤」では、約300万本のヒガンバナが南吉の故郷の秋をいろどります。童話の森でもそっと秋の訪れを告げて咲いています。
童話の森の秋の見どころ
9月から11月にかけての童話の森の見どころをご紹介します♪
ハンノキ
カバノキ科ハンノキ属
耐水性があり、普通の樹木は育たない過湿地でも育つハンノキ。一年中、松ぼっくり状の小さな実をつけます。学名は「Alnus japonica(水辺の日本の木)」。水辺に育つハンノキは日本的で、矢勝川や田んぼが広がるこの地域の特徴的な風景を作っています。南吉作品『おじいさんのランプ』ではランプをかけた木として、『ごんぎつね』では追われたごんがふりかえる印象的な場面で登場します。
昔は男の子が生まれると田んぼの脇にハンノキを植える習わしがあり、成長とともに「はざかけ(稲穂干し)」の台木などに使い、亡くなると火葬の薪として使ったそうです。
ワタ
アオイ科ワタ属
木綿の原料であるワタ(コットン)。ワタの実(綿花)の繊維をよって糸にし、はた織りしたものが木綿(綿布)です。南吉の詩『綿の話』では、昔の人々がワタを紡いでいた暮らしが描かれています。
夏に花が咲き、苞(ほう)と呼ばれる実が熟して弾け綿花(コットンボール)となります。
コナラ
ブナ科コナラ属
薪やシイタケの原木にも使われ、かつての里山暮らしには欠かせない樹木であったコナラ。外に広くなる倒卵形の葉形が特徴。夏は樹液にカブトムシが集まり、秋には葉が紅葉しドングリがなります。花のき広場のコナラにもたくさんのドングリが実っています。
アラカシと並び日本の代表的なドングリのひとつ。コナラのドングリは縦スジ模様の細長タイプ。背比べにはコナラが強いかも!?
秋の童話の森へ
ぜひあそびに来てください♪