【童話の森だより】童話の森だより春号
童話の森だより 春号
童話の森だより春号は新美南吉記念館内の童話の森コーナーにて配布中です。
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マップを片手に春の童話の森を散策しませんか?
南吉を読む
『里の春、山の春』
坊やの鹿は、生まれてまだ一年にならないので、春とはどんなものか知りませんでした。
「お父ちゃん、春ってどんなもの。」
「春には花が咲くのさ。」
「お母ちゃん、花ってどんなもの。」
「花ってね、きれいなものよ。」
「ふウン。」
けれど、坊やの鹿は、花を見たこともないので、花とはどんなものだか、春とはどんなものだか、よくわかりませんでした。
新美南吉『里の春、山の春』より
《作品解説》坊やの鹿はやわらかな鐘の音に惹かれて山を下り、角に桜の枝を結び付け、喜んでまた山へ帰りました。そして桜が「花」で、そこが「春」だったことを知ります。知多半島には生息しませんが、南吉は鹿が好きでした。ヤマザクラは里の桜より遅れて咲きます。可愛い純粋な子鹿が、山へ春の先触れを運ぶやさしいお話です。
サクラ
バラ科サクラ属/スモモ属サクラ亜属
童話の森のサクラは2種類。ヤマザクラとソメイヨシノがあります。ヤマザクラは日本に自生する日本固有種で、葉が出るのと同時に花が咲き、ソメイヨシノよりも遅い開花になります。ソメイヨシノは日本産の栽培品種で、成長が早くとても丈夫。春のニュースの「桜前線」はソメイヨシノの開花日です。開花が待ち遠しいですね!
童話の森の春の見どころ
3月から5月にかけてのにぎやかな童話の森の見どころをご紹介します♪
ナタネ
アブラナ科アブラナ属
ナタネ(なの花)は、アブラナ科アブラナ属の花の総称。菜種油原料としてはナタネ・アブラナ、春を味わう食材としてはナバナと呼び分けられているようです。南吉さんの時代は知多半島もナタネ栽培が盛んで、岩滑周辺も黄色い菜の花畑が広がっていました。ナタネ(なの花)は『春の電車』、『うまやのそばのなたね』、『狐のつかい』とたくさんの南吉作品に登場し、春らしい色彩を添えています。
アブラナ科アブラナ属には、カブ、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリーなども含まれます。どれも全部ナタネです!
プリムラ
サクラソウ科サクラソウ属
「ぷりむらハわかるる頃に咲く花ぞ」安城高等女学校で教師をしていた南吉さんが卒業生に贈った詩です。サクラソウ科にはたくさんの品種があり、プリムラもその一種。清楚で可憐な花姿が人気の花です。
南吉さんの言うプリムラは日本自生のサクラ草に似たプリムラ・マラコイデスでは? と想像し、はじめて花壇に植栽しました。きれいに咲くかどうか見守りください。
アオモジ
クスノキ科ハマビワ属
知多ではあまり見かけないアオモジは、和菓子に添える高級楊枝のクロモジの仲間。クロモジ同様に爽やかな芳香があります。若枝の樹皮が黒っぽいのがクロモジ、緑色っぽいのがアオモジです。薄黄色のボリュームある花は花材としても人気。3〜4月の卒業式頃に咲くので「卒業花」とも呼ばれています。
果実にも芳香があり、レモンのような辛みのある香りから「ショウガノキ」とも呼ばれています。
自然観察路を歩いてみよう
春の童話の森へ
ぜひあそびに来てください♪