【散策ガイド】童話の森 散策ガイド
新美南吉記念館に隣接した「童話の森」。
15分ほどで一周できる散策路です。
この童話の森は「ごんぎつね」に登場する中山さまの城跡と言い伝えられてきた場所で、南吉が親しんだ知多半島の里山の自然に触れられる森です。
森に入ってすぐに迎えてくれるのは、椿(ツバキ)です。3月頃に赤い花を咲かせます。
椿は「牛をつないだ椿の木」など題名にもなるほど、南吉が当たり前のように目にした知多の里山の植物です。
散策路を辿って、頂上の花のき広場までいくと左手に「権狐」の碑があります。
「むかし、徳川様が世をお治めになっていられた頃に、中山に小さなお城があって、中山様というお殿さまが少しの家来とすんでいられました。その頃、中山から少し離れた山の中に、権狐という狐がいました。権狐は一人ぼっちの小さな狐で、いささぎのいっぱい繁った所に洞を作って、その中に住んでいました。」
この「いささぎ」というのは「ヒサカキ」のこの地域の方言で、この森にもたくさん生えています。
ヒサカキは、神様や仏様にささげる時に榊の代用品として使われることもあります。春先に独特な匂いがする小さな花が咲きます。
出版されている本では「シダのいっぱいしげった森の中に住んでいた」となっています。実は半田のある知多半島では当たり前の「いささぎ(別名ヒサカキ)」も、他の地域ではわからないといことで、後に一般的な「シダ」に置き換えられたそうです。
その脇には「ヒイラギ」。ちょうど小さな花をつけていました。
「ヒイラギの花」は「牛をつないだ椿の木」や「鳥右ヱ門諸国をめぐる」に出てくる花です
権狐の碑の奥は、「ごんの小径」になっています。
森の中に入っていけるこの道ではこの時期「センリョウ」と「マンリョウ」を見ることができます。
「千両、赤い実。千両は葉の上に実が群がる。万両は葉の下に実がつく。万両は千両より重いので。(昭和16年12月20日新美南吉の日記より)」と南吉独特のユーモラスな表現で見分け方を教えてくれています。
童話の森の東側せせらぎの径には、ハンノキが立ち並びます。
『ごんぎつね』の中では、「ほら穴の近くの、はんの木の下でふりかえってみましたが、兵十は追っかけては来ませんでした。」とあります。きっと南吉さんはこんな場所をイメージしてごんぎつねを書いたんですね。ハンノキは、小さな松ぼっくりのような実が一年中枝についているのが特徴です。
『おじいさんのランプ』でランプをかけた木もこの木で、南吉さんの生きた時代からこの地域にもたくさんあったことが、わかります。
学名をラテン語で「Alnus japonica」と言い、水辺の、日本の、木と言う意味だそうです。矢勝川や田んぼが広がるこの地域にたくさんあることが納得できます。
昔は男の子が生まれると田んぼの脇に植え、子供の成長とともに田んぼのはざかけに使ったり、年をとり亡くなると、火葬場の薪として使う習わしがあったそうです。
数十年にわたりこの森を見守ってくれている自然観察家・大橋秀夫さんが教えてくれたことと著書「童話の森の四季」を参考に書かせていただいています。
いつも身近な自然の美しさ・楽しさを教えていただき、ありがとうございます。