“おいしい村” 村長 末松園子さん|子供達においしいお米と笑顔を届ける食育体験農業

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おいしい村の田んぼ おいしい村 直売

 

ごんぎつねをパッケージに使ったり、食育体験を軸にした農業を始めたりと、岩滑地区を中心にユニークな農業を営む「株式会社おいしい村」の代表、「おいしい村」の村長である末松園子さんにお話を伺ってきました。

 

「おいしい村」のこと

江戸時代から代々続く農家で、私で8代目となります。
今は、パートさんを含めて10人くらいで運営しています。
楽しくないと続かないと思うので、なるべくみんなが楽しめるようにやっています。
お米の生産・販売が中心ですけれど、できるだけ農業体験や体験農園を広げていきたいと思っています。

 

あとは「花の木コーヒー」という名称でコーヒー豆を自家焙煎して販売したり、米粉の製造・販売などもしています。

他にも、喫茶店をやったり、雑貨の販売もしているんですが、この他にも手芸教室や焙煎体験など、まだまだいろいろやりたいことはあります。
珈琲店は、地域の人の集会所みたいにもなっていて、月曜日はコーヒー無料だったり、母の希望で好きなようにしてもらっています。
コーヒーカップやコースターもオリジナルで、新美南吉の童話にちなんだものになっているんですよ。

 

花の木コーヒー 花の木コーヒー

花の木コーヒー コーヒーカップ

 

「おいしい村」のお米へのこだわり

おいしい村のお米の特徴は、種まきから収穫、精米、販売まで、一貫した生産販売をしています。
農業機械などもだいたい自社で全て揃っています。

作っている品種としては、「キヌヒカリ」「あいちのかおり」「ゆめまつり」が多いです。
品種として、どうしてもコシヒカリが有名なのですが、キヌヒカリは台風に強く倒れにくくて、味もコシヒカリに劣らず非常においしいお米です。
他の二つは愛知県が推しているお米です。
お米も品種によって、害虫に強かったり台風の季節に実らないように時期がずれていたり、それぞれ生産地に合わせて進歩をしているので、一度試していただきたいです。

うちのお米は特長は、収穫してすぐ乾燥機にかけて水分を調整して、玄米の状態で大型の冷蔵庫に保管しています。

その都度、必要な分だけを取り出して精米して販売しているんですけど、お米は温度と湿度を適切に管理してあげれば、1年くらいならほとんど新米と同じように美味しく食べられるんです。

ですので、味は変わらないのですが、新米の出てくる少し前、お米を少しでも買いやすい値段にしたいと思って毎年夏からお米の値段を下げたりもしています。


パッケージも工夫していて、「稲穂のしずく」という名前で、ごんぎつねのパッケージで販売しています。
あとは、記念品や贈答向けに生まれた赤ちゃんと同じ重さのお米が入ったオリジナルパッケージの「抱っこ米」とかペットボトル米を作ったり、米粉を使った「南吉童話 ふところもち」の商品もいくつか販売しています。
米粉は、グルテンフリーということで注目も集まっていますし、自家挽きもできる様になっているので、もっと使ってもらうための事業なども進めています。

 

稲穂のしずく 販売 おいしい村直売
「おいしい村」お米の直売所

 

「おいしい村」立ち上げの経緯

もともとは農家を継ごうと思っていたわけではなくて、一度は保育士として保育園で勤めていました。
保育園でも簡単な農業体験、お芋掘りや野菜の収穫などがあるんです。
そこで、食育って大事だな、もっと体験してほしいなと思いました。
私は、家が農家だったので子供の頃からずっと手伝いとして農業をしていて、日常的に野菜の成長や収穫に触れていたんですが、多くの子供達はそういう体験をしていないんですね。


そういったこともあって、6代目をしていた祖母に、農業をつぐ代わりに減農薬や収穫体験など、私の考えるかたちの農業ができるように交渉しました。好きにやらせてもらえるなら継ぐよ、って(笑)

兄は東京で仕事をしていて、父親は造園業を経営しているので、私があとを継ぐことと引き換えに、祖母には結構無理を聞いてもらったと思います。今も、母を含めた女3代を中心に、力を合わせて農業を営んでいる感じです。

 

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食育体験型農業 “おいしい村”の活動

子どもを対象にした安価な農業体験を提供したい。

 

子供達に、土や野菜がつくられているところに触れてほしくて、食育体験型農業と言っています。

食育体験としては、「田んぼオーナー」になってもらって、家族で田植えから稲刈りまでを体験してもらいます。
手植えなども要望があればできるだけ対応するようにしています。
田植え機に乗ってもらったり、手植えしたりで、田んぼの端でおにぎりを食べたりといった体験をしてもらいます。出かけるときに毎回田んぼを眺めて行くご家族や、自分のうちの田んぼで採れたお米、ということで、喜んでいただいています。

野菜の収穫体験をしてもらったり、相談を受ければ団体の体験のコーディネートのようなこともしています。
例えば、権現山でタケノコ掘りや竹筒で炊飯を体験してもらって、家で親子の会話が始まるように、お土産にタケノコを持って帰ってもらったりという感じです。

 

野菜を届ける取り組み

野菜を作っていると、どうしても大きさが揃っていないものなど、商品になりにくいものがでます。
でも、形は悪くても味や栄養には問題がないですし、もったいないと思うんです。
例えば畑の野菜を切り替えるときに、たくさん野菜がでることがあるんですけど、そういうときにはお客さんや一般の方にもSNSなどで告知して、お配りしています。
それほど数がないときは、半田の保育園を通じて母子家庭のお宅に配布してもらったりしています。
子供達にできるだけ新鮮な野菜を食べてもらいたくて。あとは、イベントなどでいろいろな種類の雑穀や古代米をブレンドしたお米などができると、そういうものもお譲りしたりしています。


おいしい村村長 末松さん おいしい村村長 末松さん
食育や子育て、代々続く米づくりについて語る末松さん。

 

お米の新しい流通方法

1週間で食べ切れる量を配達する販売の仕方にも力を入れていて、配達先は全国に広がっています。

自分が起業したとき、ちょうど一人目の子どもを妊娠中で、翌年には2人目の子が生まれました。
今では畑や田んぼを走り回って遊んでいます。
自分が母親として2人の子どもを連れて買い物をしているとよくわかるんですが、小さい子供がいたり、あとはお年寄りだと、お米を運ぶのが大変なんです。
そうした経験もあって牛乳屋さんと協力して、配達のサービスを始めました。

なにより、精米したての美味しいお米を食べて頂きたくて、1キロ、2キロの小分けの袋をご自宅に直接お届けしています。

 

 

田んぼアートへの取り組み

例年、秋の彼岸花の時期になるとたくさんの人がきてくれます。
ただ、どうしても毎年開花の時期はずれるんですね。秋まつりの時期に合わせて来ても、もう見頃を過ぎていたり、あまり咲いていなかったり。それでせっかく来ていただいた方に少しでも楽しんでもらえたらと思って、2014年から始めました。

田んぼアートは他の地域だと、測量士の人が入っていたりするそうなんですが、私たちはまだ手探りの部分もあって、なかなかイメージしたような絵を作れないところもあります。でもだんだんとできるようにはなっているので、今後も秋の新しい観光名所となるように取り組んでいきます。
南吉の風景である田んぼや里山を大切にしていくことで、秋の彼岸花の時期だけでなく、通年で立ち寄ってもらえる地域になるといいなと思ってます。

 

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田んぼアート 田んぼアート

 


取材を終えて

おいしい村は、やさしい農家でした。
末松さんが、2児の母でもある女性の経営者ということもあってか、困難を抱えるお母さんや高齢の方へのまなざし、特にお米を売るときの値段や量への配慮などには感銘を受けました。お話の端々から、困っている母子やこれからの子供達のことを考えて経営されているんだな、という印象を強く受けました。
ぜひ「おいしい村」でお米を買ったり、田んぼオーナーになったり、農業体験したりなどで支えていっていただけると嬉しいです。


おいしい村の特徴を3つにまとめると…

・子どもを中心に安価で誰もが楽しめる農業体験
・江戸時代から8代続く米作りへのこだわり
・新美南吉の作品などを通じ、地域に密着したアットホームな農家

 

株式会社おいしい村